第四次産業革命、デジタルトランスフォーメーション等なんだかよくわからないけれど、私たちの生活や、企業の間に大きな変化が起きているという風潮はご存じの方も多いと思います。
同じく、AIや機械学習等数年前までは何となく聞いたことがあるという新しいテクノロジーも今や私たちの生活に溶け込み、あちこちで活用されている様子を目にすることが出来ます。
その第四次産業革命、デジタルトランスフォーメーション、そしてAIや機械学習と切っても切れない関係にあるビッグデータに関して、本日はわかりやすく解説をしていきます。
ビッグデータときいて「AIや機械学習で分析する元となる膨大なデータ」という認識を持っている方はかなり多いと思いますが
結局膨大なデータが集まると何がいいの?
どんな活用ができるの?
といった内容をしっかりと理解しているか?と言われるとあまり自信がない…
という方もいるのではないでしょうか?
今回は、ビックデータという言葉を知るのではなく、ビックデータを理解し、どう役立てていくのか、それによって私たちの生活や、企業がどのように変化できるのか、すこしだけ踏み込んだ内容を解説していきます。
それではお楽しみください。
ビッグデータとは
ビックデータという言葉で表現されるのだから、膨大な量のデータを表すのだろう
と想像される方も多いと思いますが、一言でいうと
「様々な様々な形をした、様々な性格を持った、様々な種類のデータ」
を表します。
つまり、量が膨大というだけではなく、その形や種類特性にわたるまで多様であるというわけです。
また、ビッグデータにはその特徴として4つのVを持つとされています。
- ①Volume(量):データの質が良いこと
- ②Variety(速度):受信したデータに基づきアクションを起こすスピードが高速であること
- ③Variety(多様性):多くのデータが活用可能であること
- ④Veracity(正確性):リアルタイムのデータであること
つまり、膨大なデータという広義の意味合いというよりも、目的に対して活用可能な膨大で多種多様なリアルタイムのデータという意味合いを持ちます。
データはあくまでも、データ。
活用する目的があって初めて意味のあるデータになるわけですね。
では、そのビッグデータにはどのようなものがあるのでしょうか。
ビッグデータの種類
多種多様で、様々な特徴を持つ、ビッグデータですが大きく種類分けすると下記のように分類されます。
引用元:総務省 平成29年度版 情報通信白書「ビックデータの定義及び範囲」
上記のように、データはデータでもどのようにして収集されたデータなのかというデータの生成元や、その特性によって種別されています。
また、政府や行政が公開しているオープンデータに比べ、企業や個人の情報はプライバシーなどの観点から秘匿性が高いこともあり、クローズドデータという呼び方もされるケースもあります。
世の中にある出来事がデータという形に変換され、その生成元や特徴によって分類されているわけですが、見ていただけるとわかるように突然降って湧いたものではなく、元々目には見えない形で確かに存在していたものが、データという目に見える形で表現されたことによって注目されたという事が、その種類からよくわかります。
では、そのデータ化によって可視化されるという流れはどのようにして起きたのでしょうか。その背景を説明します。
なぜ普及したか
データによる可視化がここまでのトレンドになった背景には大きく二つ、多様化とテクノロジーが挙げられます。
元をたどると、国や企業は国民や消費者の期待に答えるために存在をしています。その為、国民や消費者の価値観や動向を把握することが重要になることは言うまでもありません。
その中で、後述するテクノロジー要因とも重なるのですがIT化が進み、膨大な情報に触れることが出来るようになったことで、国民そして消費者の価値観は多様化し、急速に変化していく時代になりました。
人の価値観が変化するためには外的な要因、人との出会いや、新しい物事を経験する事が必要不可欠になりますが、いままでの時代ではその新しい出会いや経験の為には物理的な制約がありました。
海外の人と触れ合い、価値観を共有するためには遠い海を渡る必要があったり、新しい経験をするためには、膨大な費用が掛かったりといったところです。
そうすると、当然新しい経験を経て新しい価値観を獲得できる人物はごくごく限られた人にとどまり、その他大勢の価値観は緩やかに変化していく、もしくは変わらないという状態だったわけです。
そのような時代においては「いままではこうだったから、おそらく今後もしばらくは同じような価値観だろう」という過去の経験がそのまま多くの範囲で適用できる時代でした。
そのため、データというリアルタイムな情報に頼る必要がありませんでした。
ところが、ITが普及し、安価でどのような人物でも国や性別といった垣根を飛び越え、多種多様な経験をし、多種多様な人と繋がることが出来るようになったことで、様々な価値観が生まれることになりました。
結果、新しい価値観が生まれたり、短い期間で価値観が変化したり、と過去の経験が全く通用しない時代になりました。
そのようにして、今の、そしてこれからの国民や消費者の価値観や期待に応えるためには、今この瞬間の価値ある情報。即ちデータが重要になったというわけです。
もう一つの重要な背景である、テクノロジーに関しては、前述したIT化という点もありますが、情報処理技術が飛躍的に上昇し、大量のデータを管理分析することが可能になった事にあります。
大前提、データは活用できなければ価値がないのですが、活用できる準備が整ったため、あらゆる自称をデータとして可視化していこうというトレンドが生まれたというわけです。
では、そのようにして注目を浴びているビッグデータですが、いったいどのように活用ができるのでしょうか。
ビックデータの活用例
膨大かつ、多種多様なビッグデータをどのように活用しているのか、代表的な例を3つの業界別に紹介します。
①飲食業界における活用例
飲食業界では購入履歴の分析においてビッグデータが活用されています。
購入された商品の時間や種類、金額や頻度、また購入者の年齢や性別などの属性を基に、書品の売れ行きの分析や、対象の消費者に何が求められているのかという新商品の開発などに役立てられています。
そうすることで、従来だと夏にアツアツの製品が売れるわけがない。と思われていたものが、ある特定のエリアで特定の年齢、職業の人には非常に需要がある、等ということがわかり製品の開発に踏み切ることができ、見事ヒット商品となった。等ということが起こり得る世の中となりました。
このように、飲食業界でのビックデータの活用によって的確な市場調査や分析に貢献し、企業は効果的なマーケティング戦略の立案を可能とし、業績アップや企業成長に繋げるという活用がされています。
②観光業界における活用例
観光業界では特に位置情報のビッグデータの活用が行われています。
多くの人がスマートフォンやタブレットを所有する現代では、GPS機能によって位置情報のデータが多量に蓄積されるようになりました。蓄積された位置情報のビッグデータから、行動軌跡を抽出し特性を把握することによって人々の行動分析を可能にしています。
近年ではSNS利用者の増加によって、SNS投稿に付加される位置情報と投稿内容を情報として蓄積し、分析することで観光客の行動パターンの把握を行う事例もあります。滞在場所や投稿量などの分析によって、その地点が観光資源として適しているのかどうか正確な判断に期待できるのです。
また各地域の認識パターンの取得によって、地域のイメージを把握しプロモーションに活用している事例もあります。具体的には、ある地域のイメージや認識をビッグデータから把握します。
その結果「多くの人がイメージしている地域の良さについて、これまでプロモーションに力を入れていなかった」といった気づきを得られるのです。
ビッグデータによって得られた市場ニーズを活かすことで、効果的なプロモーションを実現できます。 観光業界におけるビッグデータの活用は現状の把握とニーズの発掘によって、新たなビジネスを生み出す効果に期待できるでしょう。
このように定量的かつ定性的に顧客の情報を捉えられると、顧客の傾向や行動の理由の特定につながりやすく深い顧客理解が可能です。
③農業業界における活用例
センサーイノベーションの進歩によって新たな発展を目指しているのが農業業界です。センサーイノベーションとはネットワーク技術とセンサー技術を組み合わせたIoTを指します。
センサーイノベーションは、効率的なデータ収集を行いビッグデータを構築するための手段として、農業業界において期待が高まっています。農業の生産現場で発生するデータは環境データ、生体データ、栽培管理データに大別され、それぞれのデータを効率的に収集するための技術開発が進められています。
農業において重要な要素は生産量となりますが、生産量を増やすためには絶えず作物の様子を観察し、天候や外部環境要因に対して適切な対応を行い続ける必要があります。
また、農業の担い手後継者不足によって、作物の様子を観察し、適切な対応を取るというマンパワーに頼った解決方法を継続することが難しくなっていたのですが、センサーイノベーションにより従来の仕事を機械に代替し、同時にデータを蓄積することで、従来の勘や経験則に頼った生産方法が、再現性高くまた人の手を借りずとも実現できるようになりました。
結果、より確実で人手のかからない生産が可能となり、大きな価値を生むことになりました。
上記の業界以外にも様々な業界でビッグデータは活用が進められ、そしてこれからもその活用事例が増えていくことが予想されています。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。ただの膨大なデータという認識が、あらゆる課題を解決する貴重で多種多様なデータという認識に替わることで、普段の生活で触れるデータの捉え方が少し変わったのではないでしょうか。
このように、私たちの生活の中でデータは切っても切れない関係になりましたが、大切なのは活用することであることは言うまでもありません。
普段触れるデータがいったい何に活用されているのか、という視点で生活してみると面白いかもしれませんね。
それではここまでお読みいただきありがとうございました。
次回の記事でまたお会いしましょう!
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