一人につき一台のスマートフォンを持ち、いつでもどこでも人や情報に繋がることのできる現代ですが、その現代の生活に大きくかかわる技術の一つに人工知能(AI)があります。
SF映画や、アニメの中にも頻繁に登場するので、人工知能という言葉を聞いたことがないという方はなかなかいないのではないでしょうか。
近未来的で非常に便利なイメージを持つ方が多くいる一方で、AIとは何かを具体的に説明ができる人は意外にも多くないのではないでしょうか。
映画やアニメ等の創作物に登場するくらいであれば「何となく聞いたことがある」で済む場合もありますが、今や一人一台手にするスマートフォンの中にも人工知能が組み込まれています。
そんな人工知能共に生きていると言っても過言ではない現代人に向けて、日々サービスを作り価値を提供する企業で働く私たちにとっては、人工知能と共に生きる現代人を理解する事は必須となっていくでしょう。
その為にも、人工知能という技術がいったいどのようなものなのか、しっかりと理解しておいて損はありません。
本記事では、人工知能とは何かという基本的な内容から、人口知能が注目されるようになった歴史やこれからの人工知能の発展などをわかりやすく紹介していきます。
それでは、早速、人工知能とはなにかについて説明を始めていきます。
Contents
人工知能とは
人工知能(Artificial Inteligence)とは、文字通り人工的な知能即ち、人間の知能を人工的にコンピュータ上に再現したものと捉えられます。
元々は1956年に、計算機科学者のジョン・マッカーシー享受が「Artificial Inteligence」という言葉を使ったことからスタートするのですが、当初より60年以上たった今でも人工知能の明確な定義は定まっていないという現状があります。
というのも、人間の知能に関しての理解が令和の現代とはいえ全て解明されたわけではなく、また人工知能のレベルも様々であり、どこからどこまでの範囲を人工知能と呼ぶのか、提唱者によって解釈が分かれているとことに要因があります。
その為、平たく人間の知能をコンピュータ上に再現したものと捉えておいて問題はないでしょう。
人工知能の歴史
昨今でこそ人工知能という言葉はありとあらゆるところに見かけるようになりましたが、実は過去に2度の人工知能ブーム(以下AIブーム)と呼ばれる人工知能が世の中に取りざたされた瞬間が存在しています。
それではそのAIブームを一つ一つ紹介していきましょう。
①第一次AIブーム
先程もすこし話に登場した、計算機科学者のジョン・マッカーシー享受が1956年にダートマス会議で「AI」という言葉を用いた1950年代後半から1960年代にかけて、第一次AIブームが起こりました。
焦点があてられたのは、コンピュータによる「推論」と「探索」です。
上記の技術を用いて、コンピュータは特定の問題に対して回答を導き出せるようになりました。
ところが現代の技術と比べてまだまだ未熟な当時のAIでは、明確なルールや定義づけのある迷路やオセロのような問題に対してしか対応することが出来ず、次第にAIブームは下火となっていきました。
機械が人間にとって替わるような想像をした当時の人たちからしたら、あまりに想像した人工知能とかけ離れていたために失望したかたも多かったとのことです。
②第二次AIブーム
その後、しばらくの期間を経て、第二次AIブームが1980年ごろに到来しました。
このブーム到来の背景は「エキスパートシステム」の誕生によるものでした。エキスパートシステムとは、「○○の場合□□を行いなさい、そうではない場合△△を行いなさい」という、あらかじめ蓄積された知識の中から適切なものを選択肢、正答を行うというシステムのことを言います。
このエキスパートシステムはルールが多ければ多いほど正確性が向上しますが、機能させるために莫大な知識量が必要となり、その為に莫大なコストが必要であったり、ごく限られた分野にしか応用が利かないことを理由に1995年頃を境に徐々に下火になっていきました。
③第三次AIブーム
そして時代は流れ2000年台に突入するとサーバーの技術の向上や通信技術の発達によって、AI自身が大量のデータ(ビッグデータ)から知識を獲得し学習を進める「機械学習」の実用化が進んだこともあり、第三次AIブームに突入しました。
そしてその第三次AIブームに拍車をかけるように、知識を定義する要素をAI自身が自ら習得するディープラーニングが2006年に提唱され、一層の盛り上がりを見せました。
そしてその盛り上がりが。現在も続いています。
AIという言葉からイメージしたワクワクするような未来と、当時の技術力とのギャップにより幾度かの期待外れな印象を与えてしまった人工知能ですが、60年程の時間を経てどれくらいのレベルまで発展したのでしょうか。
人工知能の実現レベルと現状
人工知能と聞いた当時の多くの人が、自分自身がコンピュータの中に存在しリアルと同じように考えながらリアルを生きる我々の活動をサポートしてくれるのでは、と想像をしたように思われますが、当時から60年たった現時点でも、人間の頭脳のような汎用的な人工知能は未だ完成に至っていません。
現時点で実現しているAIは、全て用途が限定される、特定の一つの領域における知的活動を専門とする特化型のAIになります。
例えば、写真を撮ったり、言葉を認識したり、複雑な予測を行ったりと、全ての活動を行うことのできる汎用型のAIではなく、「写真を撮る」AIや「言葉を認識する」AI、「複雑な予測を行う」AIといったように個別の知的活動を行うAIが現在開発されていることとなります。
ちなみに、汎用型AIと特化型AIはそれぞれ
・強いAI=汎用型AI
・弱いAI=特化型AI
というように分類されます。
現在の人工知能でできること
先程の説明で、現在の人工知能はほとんどが特化型AIであるとお伝えしましたが、主に下記のようなデータを、ディープラーニングや機械学習を用いて分析し、処理を行うものとなります。
①表形式データ
ExcelやCSVデータなどの表形式で数値がまとめらえているデータを用いて、価格などの表形式データから数値を予測する回帰や、色や形などの表形式データから種類を予測する分類。
購買データなどから顧客の興味のグループ分けを予測するクラスタリング、気温などの連続するデータから未来の数値を予測する時系列分析等を行うことが可能です。
②画像/動画データ
画像から歩行者を感知する物探検知や、工場で不良品を探すなどの異常検知といった画像認識や、一部の画像から全体の画像を予測し作成する画像生成等を行うことが可能です。
③テキスト/言語データ
入力されたテキストからネガティブな要素、ポジティブな要素を判定する感情分析や、文脈を推測し自然な言語返還を行う文章生成や翻訳、特定の質問に対して回答を行うチャットボットなどの自然言語処理が可能です。
④音声データ
AIスピーカー等の音声認識や音声合成、さらには音楽の生成等が可能です。
現在の人工知能の課題
様々な形で応用され一見万能にさえ思える人工知能ですがまだまだ課題も多く、実生活や仕事において更なる発展をしていくためには次のような点を克服していく必要があります。
①活用ポイントの見極め
AIは自我や判断基準を持たない為、どのようなシーンで何を目的として、何を行うのかという点は現状人間が設定する必要があります。簡単にいうとAIが活躍する場を作るのは人間であって、AIが勝手に考えて仕事をしてくれるわけではないという事です。
また、既に存在するAIを利用するならまだしも、まだ活用されていない領域でAIを活用していこうとなると、それだけのお金や人手のコストがかかってきます。
したがって何をどこまでどのようにAIに任せるのかという、AIを活用していく人間側の発想や知識面、実用の際のコスト面に課題が存在します。
②エンジニアの育成
AIを使ったシステムの構築には、専門的な技術を持つエンジニアが必須となります。ところが、AIを実装する為にはAIに関する専門知識はもちろんの事、活用にあたって、その領域での専門知識等が必要になるので、従来のエンジニアとは異なる技術や能力が求められる為、対応できるエンジニアの数が不足しています。
人工知能のこれからの展望
それでは、上記のような課題を乗り越えた先にどのような未来が待っているのでしょうか。
人工知能の根幹は学習にありますので、活用の幅が増えれば増えるほど多様なデータが収集され、その多様なデータから新しい活用の切り口が生まれていきます。
当初は限られた領域、ルール内での活用しかされていなかった人工知能も、気が付けば現在では小売。流通、医療、金融、農業、教育等様々な分野で活用がなされています。
今後その活用の場が増えれば増えるほど、技術の発展そして更なる活用の場が増えていき、仕事、生活その他さまざまな場面で人を豊かにするサポートをしていくことになると考えられています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
人口知能とは平たく言うと、人間の知能をコンピュータ上で再現するというものであり、機械学習やディープラーニングを用いて膨大なデータを処理し、数値を予測したり、画像や音声を識別したりと私たちの生活をより豊かにするものです。
とはいえ、普段生活をしている人間の知能のように、複数の事を行うことのできる汎用的な人工知能の開発にはまだ至っておらず、専門的な特化型の人工知能の開発が主となっています。
非常に便利な人工知能ですが、コスト面や活用できる人材が不足しているという課題を抱えており、今後の発展に非常に期待をされている領域でもあります。
それではここまでお読みいただきありがとうございました。
次回の記事でまたお会いしましょう!
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