本記事の読み切り時間は約4分となります。
本記事の対象者は
・Health Techに関わりのある方
・医療系のアプリケーション開発に関わる方
・医療従事者でDXに関心のある方
・医療に関わる企業でDXに携わる方
となります。
それでは、お楽しみ下さい!
Contents
目次
新型コロナウイルスが全世界で猛威を振ったことで、私たちの生活は良くも悪くも様変わりしました。
いまでこそ、少しは緩和の兆しがありますが、過去にインフルエンザが最流行したタイミング以上に
マスクをしてる人が多く街を歩き、加えてお店に入ろうものなら、どこへいっても消毒と検温の対応を迫られる。
そんな状態が早3年続いている現状ですが、コロナウイルス蔓延の以前の生活とよりも、自分の健康状態を意識する機会が増えたと感じる方も多くいるのではないでしょうか?
実際に「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う健康意識の変化」について20~60代の男女74,905名にアンケート調査を実施したフォーネスライフ株式会社によると
94.5%の方が新型コロナウイルス後に健康意識が高まった、と回答していることがわかりました。
また、その内の20.2%が「病気になるリスクを予測できるサービスを利用したい」と回答をするなど
健康意識の高まりとともに、予防という観点にも非常に関心が高まっているといえるでしょう。
今回は、上記のように近年さらに高まりつつあるヘルスケアの領域におけるデータ利活用の概要を
Kaggle事例を交えてご紹介していきます。
それではどうぞお楽しみに!
ヘルステックを用いた未病領域注目の背景
さて、具体的な事例の紹介に入る前に、そもそもどうしてヘルスケア領域の関心が高まっているのでしょうか。
また、どうしてヘルスケア領域でデータ利活用が注目されているのでしょうか。
早速説明に移っていきましょう。
超少子高齢化
現在の日本において、深刻な社会問題となっている少子高齢化が、昨今の健康意識の高まりの背景となっています。
人口を維持するための出生率を下回り、かつ総人口における65歳以上の高齢者人口が増加している現在の日本では、社会保障費を支払う労働年齢人口が年々減少し、一方で社会保障によって生活の補助を受ける高齢層の方が年々増えていくという構造となっています。
その状態が今後も確実に続くことが分かっているため、だんだんと社会保障費のキャパシティが減っていき、最終的には医療/介護における公的なサービスに頼ることが出来なくなるのでは?という機運が高まりました。
その結果、病気になる前の予防領域への関心が高まったことが一つの要因となります。
病気の構造の変化
また、以前と比べて病気の構造の変化も健康意識の高まりの一つの要因と考えられます。
厚生労働省が2020年に実施した人口動態統計における「主な死因別にみた死亡率」の調査では
1,950年代の死亡要因が、脳血管疾患や肺炎等の現代の医療で治療可能な両機だったのとくらべ、現在では主な死因が、悪性新生物(癌)や心疾患といった生活習慣に根付いた、かつ治療にあたって中長期的な時間がかかる病へと変わっていきました。
その為、実際に病を患った方は、中長期的に病院内外での治療を余儀なくされ
また重篤化はしていないものの軽度なものや、予備軍と呼ばれる疾患リスクが高い方等も発生したことにより、従来の病院で治療するというよりは、病院外での普段の生活の中で治療や予防をするという機会が各段に増えたことで、より健康的な生活を意識する要因となりました。
新型コロナウイルス
そして冒頭でも紹介した通り、新型コロナウイルスの蔓延によって感染予防に対しての国を挙げた取組が行われた結果
日常生活で自分自身の体調に気を使うという機会が格段に増え、またコロナウイルス感染者によって病床がひっ迫され、なるべく医療関係者の手を煩わせずに自分たちでなんとかしようという気運がたかまりました。
上記のような背景から、ヘルスケア領域への人々の意識が高まっていったと考えられます。
その上で、テクノロジーの発展によりセンサーの高精度化や小型化が可能になり
従来では心拍数や血圧などのバイタルデータを取得するためには病院で大掛かりな機会を用いなければいけなかったものが、スマートフォンやスマートウォッチひとつで簡単に取得できるようになったり
自分自身の遺伝子データを知るためには数百万円という費用が掛かっていたものが、たった数万円で遺伝子疾患やアレルギーなどの傾向が無いかをゲノムデータから調べることが出来るようになりました。
上記のような理由から、先端技術を活かして、疾患の予防に役立てようとするヘルステック(Health×Technology)の領域が注目を浴びるようになりました。
その流れにのって、同領域でのデータ利活用が進んでいる現状があるというわけです。
さて、その注目度の高いヘルステック領域ですが
データサイエンティスト達が、その分析スキルを活かして交流や企業とのコンペを行うコミュニティKaggleにおいても分析テーマとして取り上げられることがしばしばあります。
今回はその事例を一つご紹介していきます。
Kaggleコンペ「パイロットの状態認知による民間航空の死亡者数の削減」
こちらは2018年のコンペのテーマとなりますが
実際のパイロットの生理学データから、現在気が散っている状況なのか、眠くはないか等といった認知状態を監視し、重篤な事故に繋がりかねないと判断した場合にアラートを発して未然に事故をおこす挙動を防ぐためのアルゴリズムを構築するというものでした。
参照記事はこちら
飛行機関連の死亡事故のほとんどは「飛行機の状態に関して認識が喪失している」つまり、不注意に起因していると言われており、バイタルデータから注意喚起をすることで効果的に予防が可能になります。
ヘルステック事例の紹介
上記のように、実際の航空現場でのバイタルデータの活用等に加え、近年の高精度かつ小型化されたデジタルデバイスの開発に伴って、日常的に利用するものから、バイタルデータを取得し、取得したデータから自身の健康状態や、可能性のある疾患リスクに対してのアラートを上げることが出来る、そんなサービスをご紹介いたします。
今回ご紹介するのは下記の事例となります。
OURA(公式サイトはこちら)
Siren(公式サイトはこちら
ŌURA
フィンランド発祥のŌURAが開発したスマートリングでは、心拍、体温、動きをモニタリングし
ユーザーの睡眠状態や健康の改善を支援することが可能です。
指輪の内側には、赤外線LED、NTC温度センサー、3D加速度計、ジャイロスコープなどが組み込まれており、指には多くの動脈や毛細血管があり信頼性の高いデータが得られるほか、肌に常時ぴったりと密着させることができるため、高い測定精度を実現できるとのことです。
Siren
イギリス発祥のSirenが開発したスマートソックスでは、普段履きとして使用することで、糖尿病患者の健康状態をトラッキングできます。
マイクロセンサーが埋め込まれた繊維素材のソックスで、患者の足の温度をモニタリングし、炎症の兆候や体温の変化を検知すると、ユーザーのスマホアプリや担当医師へアラームが発する仕組みとなっております。
利用にあたっては医師の処方が必要となるとのことで、通常通りソックスの洗濯も可能です。
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介した事例以外にも、様々なデバイスでのバイタルデータの計測が行われていたり、取得したバイタルデータを医療現場以外にも様々な形で利用したりと
今後ますます活用が進む領域となっております。
是非、今後の動向にも注目しつつ
ご自身でも活用してみても良いかもしれません。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
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